関西学院大学 経済学部

僕が學進会に入塾したのは、小学6年生のときでした。勉強に対して『好きだ』とか『嫌いだ』とか、それほど考えていないような早い時期から學進会の先生方の質の高い授業を受けさせていただき、學進会に集まる志の高い仲間とともに勉強することができ、勉強に苦しむことなく、充実感ばかりを味わわせていただきました。

 しかし、そうした勉強に対する充実感の一方で、僕は小学校から続けている野球も大好きでした。小さい頃からの夢であった『甲子園に出場すること』を目指して…、そしてその一方で、よりレベルの高い大学で大学生活を送ることを夢見て…高校生活で、野球と勉強を両立させたいと思いました。そこで、高校は福知山成美高校に入学しました。

 実際に成美高校に入学し、野球部の練習に参加してみると、部員は140人を超えており、僕のポジションであるキャッチャーは10人以上の生徒が1つの正捕手の座を奪い合うという状況でした。
 そしてそれまで噂で聞いていたように、福知山だけでなく他の市町村…他府県から多くの生徒達が野球を目的に集まってきており、彼らの野球に対する思いは驚くべきものでした。

 入部当初、同期の中でも下のレベルにいた僕は、練習の機会すら実力のあるメンバーほどに与えてもらえず、家に早めに帰宅する…という状況でした。その悔しさで、自転車をかなりの速さでとばして帰宅するとすぐにバットを持ち出して、夜遅くまでバットを振り続けたことをよく覚えています。
 その甲斐あって、2年生の秋の大会で正捕手の座を獲得することができました。入部当初は下から数えた方が早かった僕が、他のポジションで同様にポジション争いに勝ち残ってきたメンバーとともに野球ができるということが夢のようでした。
 あの時の喜びは、今でも忘れられませんし、高校生活で野球をやっていてよかったと今改めて思う経験の1つです。

 しかし、高校野球生活の多くがうまくいかないことの連続で、そんな僕を支えてくれていたのが勉強でした。
 野球でうまく行かず、精神的に落ち込んだときは、『勉強を頑張ろう。僕には勉強もあるじゃないか。』と、勉強という存在に助けられてきました。そして勉強を頑張ることで受験勉強自体がはかどったり、その結果、模擬試験の結果がよくなったりすると、今度は野球の方も軌道に乗ってくる…という良い連鎖を生んでくれました。
 僕にとって勉強と野球は、どちらも欠かすことのできない大事なものでした。

 それでも振り返ってみると、勉強と野球の両立はそう簡単なものではありませんでした。
 高校入学当初は、『勉強と野球の両立をやり遂げるんだ!』と意気込んでいましたが、高校2年生、3年生と学年が上がるにつれ、勉強しなければならない内容の質も量も増し、その一方で、野球のベンチ入りメンバーとして試合や遠征の数が格段に多くなりました。
 自分で時間やモチベーションを調整しなければならない勉強に対して、日時が決まっていて、僕の調子とは無関係に進行してくれる野球の方が、僕の生活の中でより重要な位置を占めるようになっていました。『勉強をしなければ、自分が目指す大学には合格できない』という思いは常にありました。しかし、日々の野球の練習で身体的に疲れ、自宅の机の上で教科書とノートを開き、ペンを握ったまま寝てしまっていることが多くありました。
できる限りのことはしようと、その当時受講していたFitの復習だけは欠かさずにやりました。
 それでもやはり、他の受験生がもっと熱心に勉強に励む様子と比較して、僕の勉強は十分な受験対策ができているとは到底言えないものだったと思います。

 3年生の夏まで野球をやり続け、8月頃にようやく勉強にだけ集中できる環境になりました。この頃はまだ『野球が終わったら、それまで野球に注いでいた時間を全部勉強に注ぐことができる。』と思って、意気揚々と勉強を始めました。
 しかし、しばらくして僕が思い描いていたように上手くは行かない…ということを知りました。
 時間もたくさんあって、身体も全然疲れていないのに…なぜか勉強が手につかない…といった状況に陥ることが多々ありました。そしてアッという間に受験シーズンが来てしまいました。

 結果から言いますと、僕は一番行きたかった最難関私立大学にはとどきませんでした。
 しかし、3年間の高校生活、もっと言えば學進会に入塾した頃から勉強に対する思いも常に自分の中にあったために、目指していた大学にとどかなかった自分を受け入れなければならないことは分かりながらもなかなかできませんでした。目指していた大学に合格した人を見たり、話しを聞いたりする度に羨ましく思い、また、時にはその人達のことを恨めしく思うこともありました。

 僕は勉強が疎かになっても、野球を高校3年間やり続けたことを誇りに思っています。そして例え疎かであったとしても野球だけにならず、勉強もやり続けてきてよかったと思っています。
目指していた大学にはとどきませんでしたが、多くの刺激的な仲間とともに野球に邁進した高校生活と、學進会で毎日夢の大学に向かって努力を惜しまない仲間に刺激されながら勉強した高校生活は、僕に多大なる経験を与えてくれました。2つの世界で多くの経験をしたことは、僕にとって非常に貴重なものになりました。

 最後になりましたが、小学生の頃から優しく、時に厳しく御指導いただきました學進会の先生方には、大変お世話になりました。勉強面だけでなく、野球面でも応援して下さったおかげで、なんとか最後までやり遂げることができました。
 約6年間、本当にありがとうございました。